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今回は「眠りSCAN」を用いた見守り支援システムを採用した経緯や導入効果などを、遠州鉄道株式会社の市川さんに伺いました。同社はパラマウントベッドとも密接に連携し、コロナ禍を契機に「呼吸日誌」の活用を始めるなど、見守り支援システムを上手に活用されています。業務改善につなげた事例や呼吸日誌の活用方法も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

【遠州鉄道株式会社】

静岡県浜松市を中心に、電車・バス事業、不動産業、保険代理業、介護事業を営む。介護事業へは2009年12月より参入し、「ラクラス」という名称で施設を運営。静岡県・愛知県にデイサービス 16事業所・ショートステイ 4事業所・介護付有料老人ホーム 5事業所があり、650名の従業員が在籍している。

※2023年9月末時点の情報

導入前に抱えていた課題

見守り支援システム導入前に抱えていた課題は、主に下記3つです。

  1. 夜勤帯の休憩に対する改善要望
  2. 夜勤業務が忙しく、職員がまとまった休憩時間を確保できない
  3. 居室内の転倒・転落事故の増加

これらに加えて、職員から「質の良い介護を提供できているか不安」といった意見も出ていました。

夜勤帯の働き方・休み方に関する問題が発生した

見守り支援システム導入前は、夜勤中に30分の休憩を2回取得していました。しかし、「まとまった時間でないと、思うように身体が休まらない」という意見が多く、夜勤時の働き方や休憩の取り方に関する課題が浮上していました。また、夜間の職員配置は「1フロア1名体制」となる時間帯があり、当時は2時間ごとに訪室するルールが設けられており、その合間に記録業務なども行っていました。

さらに課題として挙げられていたのが、ステーションやフロアから各部屋の見守りがしにくい状況にあったことです。下の図で、施設の間取り例を紹介します。

ご覧のように「ロの字型」で回遊でき、各部屋へ訪室する視点からは動きやすい動線です。一方で、見守りの視点からは職員の目が届きにくく、業務負荷がある間取りともいえます。職員の目が届きにくい性質から、見守りに不安を感じる職員も少なくありませんでした。

特に夜間帯の事故が増加していた

見守り支援システムの導入前は、居室内の転倒・転落事故が増加傾向にあり、それに付随した報告書の作成や再発防止策の検討などに時間がかかっている状況でした。次の表は、当社が運営する2施設での転倒・転落事故の件数の推移です。

ラクラス広沢レジデンスでは、2018年に「8.3件/月」だった事故件数が、翌年には「10.8件/月」と、ひと月に2.5件増加しています。また、全ての施設に共通して特に夜間帯の事故が増加していることがわかりました。

課題解決のために見守り支援システム導入を決意

先述した課題の解決に向けて、「職員の業務負担軽減」「夜間居室内の事故削減」を目標とした検討が始まりました。ポイントとなったのは次の2点です。

  1. 限られた職員配置の中で職員の業務負担を減らす
  2. ご利用者様がベッドから離床されたタイミングをいち早く察知し、迅速に対応する

1つ目のポイントとして、見守りの目を増やしたいものの、職員配置を増やすのは困難であったため、限られた人数の中で業務負担を減らす方法を検討する必要がありました。

2つ目のポイントは、居室内での転倒・転落事故件数を低減させるため、ご利用者様がベッドから離床されたタイミングをいち早く察知し、迅速に対応することです。しかし、やみくもに訪室回数を増やしてしまうと、かえってご利用者様の眠りを妨げる可能性があります。また、職員の負担も増大し、業務効率の低下を招くおそれがあるため、現実的な対応とはいえません。そこで、介護現場を支援するツールとして当時から注目されていた「見守り支援システム」を導入し、こうした課題の解決を目指しました。

「眠りSCAN」を用いた見守り支援システムを採用した理由

パラマウントベッドの「眠りSCAN」を用いた見守り支援システムを採用した理由は、当社が希望する条件に合致していたからです。前提として、見守り支援システムは多くの企業から多数の商品が販売されています。そこで当社では、次の観点から商品の検討を行いました。

これらの総合評価で、パラマウントベッドの「眠りSCAN」を用いた見守り支援システムを採用することに決定。現在では、各都道府県や政令市が主体となった補助金等を活用できる可能性があるため、見守り支援システムの導入をより検討しやすい環境にあると思います。

当社では、滞在型施設に「眠りSCAN」を用いた見守り支援システムを導入しています。具体的には、介護付き有料老人ホームの5施設 計268床・ショートステイの4施設 計163床に導入しました。

システム活用に関するパラマウントベッドからの提案

ここで、見守り支援システムをどう活用するのか、そのメリットについてパラマウントベッドからいただいた提案を紹介します。

まずは、ベッド上のご利用者様の状態(睡眠、覚醒、離床等)を把握できることが挙げられました。見守り支援システムでは、眠りSCAN・パソコン・タブレット・スマートフォンが連携しています。この連携により、「ご利用者様がベッド上にいるのか」を訪室せずとも確認することが可能です。また、「起きあがり」等で早めに通知を受け取ることで転倒転落件数の低減やスタッフの不安軽減に役立つというものでした。

2つ目は、リアルタイムモニターの確認で巡視回数を見直せるというものです。ご利用者様の状態変化が通知されることで、注意すべきタイミングが把握できるようになるため、目的に応じた効率的な訪室が可能になります。

3つ目は、ご利用者様の睡眠状態の傾向を把握することで、職員の業務改善に寄与するというものです。この点に関しては、後ほど業務改善につながった事例を紹介します。

さらに、見守り支援システムで得たデータをグラフ化した「睡眠日誌」を活用することについても紹介いただきました。ご利用者様の睡眠状態や離床時刻のリズムを把握することで、お一人お一人に適したケアの実現に寄与。サービスの質が向上し、業務改善のヒントになるというものでした。

このように、具体的なシステムの使い方や活用方法をパラマウントベッドに提案いただいたことで、導入後のイメージが具体化していきました。

見守り支援システム導入による業務改善事例

ここで、見守り支援システム導入による業務改善の事例を2つ紹介します。

  1. 睡眠日誌の活用による夜勤帯の休憩時間の見直し
  2. 居室内での転倒・転落事故の低減

事例1. 睡眠日誌の活用による夜勤帯の休憩時間の見直し

1つ目は、睡眠日誌の分析を通じて夜勤帯の休憩時間の改善につながった事例です。まずは下のグラフをご覧ください。

グラフの横軸は時間、縦軸は睡眠状態の傾向を示しています。グラフの青色は睡眠している状態、黄色はベッドで横になっているが覚醒している状態、なにも示されていない部分はベッドから離床している状態です。ご覧のとおり、A様とB様ではグラフの波形が大きく異なります。しかし、個人で見ると毎回同じパターンになることが多く、各々の特徴をとらえることができます。これを踏まえて、職員が休憩を取りやすい時間帯についてご利用者様の睡眠状態から分析を行いました。

次に紹介するのは、実際の睡眠日誌です。

このデータから、午前3〜4時に多くのご利用者様が睡眠中であることが判明。「その時間帯であれば、職員が安心して休憩できるのではないか」と考えました。このように、施設やフロアごとに睡眠日誌を調べて休憩時間を検討することに。その結果、睡眠日誌を調べて休憩に入りやすい時間帯を分析することで、1時間の連続した休憩時間を確保できるようになりました。連続した休憩に変更してからは、職員から「仕事から隔離され、横になって1時間しっかり休憩できるようになった」と喜びの声が聞かれました。

事例2. 居室内での転倒・転落事故の低減

2つ目は、居室内での転倒・転落事故を低減できた事例です。職員がリアルタイムモニターを活用し、通知設定を併用することで、覚醒〜離床までの状態変化を把握できます。

事故を低減するには、ご利用者様がベッドから起き上がるタイミングや覚醒時に、職員がどれだけ早く気が付けるかが重要です。リアルタイムモニターの活用と通知機能の併用で、職員が適切なタイミングで訪室できるようになった結果、次のとおり居室内の転倒・転落の件数は各施設で減少しています。

「呼吸日誌」の活用も開始

職員が見守り支援システムに慣れ、施設に定着し始めていた頃、世間では新型コロナウイルスが大流行しました。ラクラスにおいても感染者が発生し、施設としてはご利用者様の状態変化にこれまで以上に注視するようになりました。そこで、「ご利用者様の状態変化にいち早く気付くための手段の一つとして、見守り支援システムを活用できないか」と社内で意見が挙がり、パラマウントベッドに相談することに。パラマウントベッドからは「呼吸日誌」についての紹介がありました。呼吸日誌は、就寝時でも呼吸数の推移を色で表示してくれます。個人差はありますが、「いつもと違う」と感じた時は日誌の色が普段と比べて変化する可能性があるため、私たちは呼吸日誌に注目しました。そこで、あらためてパラマウントベッドに当社の各施設で勉強会を開催していただき、呼吸日誌の見方・読み方など丁寧に教えていただきました。

この勉強会後、当社内で呼吸日誌の活用を適切なケアにつなげるルール作りを行いました。看護師による5項目の測定までを含めた「バイタル異常時のフロー」としては、まず深夜に全ご利用者様の呼吸日誌を担当職員が確認します。そこで変化があれば、看護師へ報告。報告を受けた看護師はバイタル5項目を測定し、そのうち3項目に異常があった場合は医師へ相談することとしました。これをマニュアル化し、ラクラスの介護付有料老人ホームで実施しています。下図は、あるご利用者様の呼吸日誌です。7月1日(土)・7月2日(日)に注目してください。

7月1日(土)の夜勤職員は、呼吸日誌を確認すると深夜0時過ぎから変化していることに気が付きました。呼吸日誌は赤色に変化していましたが、翌朝まで普段と変わらない様子で就寝されていました。7月2日(日)の朝、脈拍が速い状態ではありましたが、それ以外のバイタルでは異常がありません。しかし、呼吸日誌が普段と異なることと、職員の声かけに対して元気がない様子がみられたことから、朝食は食堂から居室に対応を変更。朝食後も体調に改善がみられなかったため、ご家族様へ状況報告を行い、午後に診察の予約を入れました。その後、昼食前に39℃台まで発熱したため、医師からコロナ検査の指示があり、新型コロナウイルス陽性が判明。今回のケースでは、呼吸日誌から状態変化の可能性を職員が想像することができ、それにより早い段階で隔離対応などの感染対策が行えました。

導入効果4選

最後に、見守り支援システムの導入効果を紹介します。

1つ目は、夜勤帯の休憩時間を変更できたことです。システム導入前は、30分間の休憩を2回取得していました。システム導入後は、まとめて1時間の休憩時間を確保できるようになり職員の身体的負担が軽減できました。

2つ目は、睡眠日誌の活用により夜間の巡視回数が平均6回から3.2回に削減できたことです。その分、他業務の時間の確保・職員の身体的負担軽減につながりました。

3つ目は、リアルタイムモニターと通知の活用により、居室内の事故件数を月/5.9件から月/4.2件に削減できたことです。転倒リスクが高いご利用者様に対して、覚醒したタイミングで訪室をし、リスク回避につながりました。

4つ目は、より質の高い介護を提供できるようになったことです。システム導入をきっかけに、ご利用者様の健康管理を業務フローとして確立しました。これにより、他施設との差別化が図られたと考えています。

システムの導入当初は、新しい取り組みに対するマイナスな意見や不安の声も聞かれておりましたが、全施設で見守り支援システムを導入した半年後には、ポジティブな意見が聞かれるようになりました。

より質の高い介護の提供・働きやすい職場を目指して

当社は、今後もより質の高い介護を提供すると共に、より働きやすい職場を目指していきます。具体的なポイントは次のとおりです。

これらを実現するための手段として、今後もICTを積極的に導入していく予定です。現状では、見守り支援システムの「眠りSCAN eye」の導入を検討しています。今後も様々な機器を積極的に導入し、一つ上の安心介護サービスを実現していきたいと思っています。

市川 光吾(いちかわ みつご)
遠州鉄道株式会社 介護事業部 介護事業管理課 チーフアドバイザー

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